とことこ保育

人生で間違いなく大切な乳幼児期

【保育の振り返り】4・5歳児 ケーキ作り。

 

4・5歳児と園庭の砂場でケーキ作り。

しっかりと砂をバケツに押し入れて、形を作るのが上手な5歳児 Aちゃん

なかなか思い通りの立体形ができない4歳児 Bちゃん

 

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バケツに砂を入れて押し固めることが難しく、なかなか立体のケーキが作れないBちゃん。数回チャレンジしたところで

「先生やってー」と、Bちゃんから私にお願いがきた。隣で同じようにケーキ作りをしていたAちゃんは既にひとつケーキを完成させていたので、子ども同士で学び合う機会になると思い、「うし、Aちゃんがどうやっているのか見ながら一緒にやってみよう」と促してみる。

 

Bちゃんと私のやりとりを聞いていたAちゃん、自分がお手本になっていると気づいて

「こうやって......あっ、そうだ!そのあとはこうして......。」

とこちらを意識して、声を出しながら遊び始める。

 

AちゃんとBちゃんが直接声を掛け合う姿はなかったものの、しばらくAちゃんをチラチラ確認しながらバケツに砂を詰めていたBちゃん。AちゃんもBちゃんを意識している様子。しかし数分経ったところで、

 

「やっぱりBちゃんはジュース作ってくるから、これ先生やっておいて!」

と、砂が1/3くらい入ったバケツを残して水道の方へ走って行ってしまった。

 

正直、できなかったことを友達から学んで、最後までやり遂げてやったー!ができたらなと考えていた私としては残念な気持ちもあったけど、それは私のゴールであって彼女のゴールじゃないなと思い直し、私はBちゃんに託されたバケツに砂を押し入れる任務を遂行することにする。

 

しばらくしてジュース作りを終えて帰ってきたBちゃん。

「先生、ケーキできた?」

「うん。あとはひっくり返すだけだよ。Bちゃんやってみる?」

「......いいや、先生全部やっていいよ」

「えー、先生Bちゃんと一緒にやりたいんだけど」

「えー、じゃあ Bちゃんはクルって(ひっくり返)した後ポンポンってするよ」

そんな会話を終えて、結局Bちゃんが行ったのは、最初の数分バケツに砂を入れて押し固める作業と、最後ひっくり返した後のポンポンだけ。それが終わるとまた水道に新しいジュースを作りに行ってしまった。

 

それを見ていたAちゃんが

「Bちゃんはケーキ食べるのが好きなんじゃない?」と一言。

たしかに。ケーキを食べることを期待してBちゃんが作り始めたのか、作る過程を楽しんでいたのか分からないなぁーと子どもから学ぶ。もし、そうなら完成したケーキを見せたらまた違う反応があるかもと思い、ひっくり返したバケツを抜いて綺麗に型の取れたケーキができたことをBちゃんに報告してみる。

 

すると戻ってきた。しかもジュースだけでなくデコレーション用の葉っぱを持って。

「これをケーキの上に乗せるの。先生はろうそく探してきて」

 

黙々とケーキを作っていたAちゃんも

「待って、わたしもろうそくとりいく」

と、今度はBちゃんに刺激を受けてAちゃんもデコレーションを始めていた。

 

ケーキを作ることから、Bちゃんの意識が離れたわけではなく、ケーキ作りの過程を頭に思い浮かべて次の準備をしていた様子。ジュース作りもケーキに関連した準備のひとつだったようだ。ケーキの型作りは、私がやった方が成功するだろうと、Bちゃんの中で適切な役割分担をしたのかもしれない。

 

最後は、出来上がったジュースとケーキを前にハッピーバースデイの歌を歌い、2人で盛大にケーキを壊して終了。

 

砂場遊びを見ていて、Bちゃんがケーキ作りの過程を知っているように見えたので、その後の昼食の時間に「本物のケーキ作ったことあるの?」とBちゃんに尋ねると応えは「わかんない」だったが、4年間のどこかで体験したことが繋がってたんだろうなぁと想像。

 

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約1か月程、子どもたちから離れてみて。結局「~だろうなぁ」しか言えないけれど、一緒に過ごして行う、こういう振り返りがとても新鮮だった。これがたった20分程の出来事だから、そりゃ一日の終わりには疲れもあるわと思いつつ、面白いなと改めて感じるのでした。