とことこ保育

人生で間違いなく大切な乳幼児期

転園してきたMちゃん。

f:id:mekabu6256:20200627153109j:image

緊急事態制限が解除になり、5月末から本格的に園が再開してから一か月。

 

暑さも重なり、体力的にはやっと一か月。だけど、この一か月間の子どもたちの変化はとても目まぐるしかった。日中どこかで1/3の子どもたちがすすり泣く姿があった再開初日。そこから園の生活に慣れて、子ども同士の関わりがどんどん増えていく姿を見るとほっこりした。

 

その中で、特に大きな変化を見せてくれたのは、年中組のMちゃんだった。

 

-------------------------------

 

保育園棟(0~2歳児)と幼稚園棟(3~5歳児)がある子ども園。保育園棟からの持ち上がりが多い中、年中組から私たちの園に転園してきたMちゃん。それまでは1クラス12名程の小さな保育園に在籍していたようで、1クラス30名の大きな集団に入るのはこれが初めての経験だった。

 

口数も少なく、一人で絵本を読んだり、人形遊びをしたり。園庭では、遊具に上って他の子が遊ぶ様子を見たり、園庭の周りを一人でグルグルと散歩していることが多かった。登園初日から一週間は、同じクラスの子どもたちが園の施設や日中の流れを教えたり、手伝ったり、Mちゃんを遊びに誘う姿が見られたものの「一緒に遊ぼ」の誘いに首を横に振ることも多いMちゃん。だんだんと

「〇〇ちゃんは一人がいいんだって」

「いっつも鬼ごっこしないからさ」

 

という言葉が子どもたちの間から聞こえ始めていた。

 

14時半で幼稚園の活動が終わるとそこからは、保育棟に移動し、異年齢の自由保育。幼稚園棟ではクラス毎の設定保育が主である一方、午後からの自由保育はMちゃんにとって居場所を見つけるのが難しい時間であるようだった。

 

自由遊びの時間は、先生のポケットに手を入れてひたすら付いて回ったり、ブランコは好きで足を運ぶものの、順番を待つ列を見つけると「やっぱりいい」と、園庭のベンチに一人座り始める。

 

他の子が遊ぶ姿を見ているし、友達がしている遊びに興味がないわけではなさそう。一人でいることがいけないわけじゃないけれど、他の子と一緒にいるということに心地よさも感じて欲しいなぁと願いながら、

 

Mちゃんの横に座って、声をかけてみた。ただ他の子が遊ぶ様子を観察して

「あ、〇〇ちゃんボールで遊んでるね」

「.....うん」

「あの子はMちゃんと同じクラスだっけ?」

「.....(首を振る)。」

 

と、私が聞く質問に頷いたり、一言二言発して答えるMちゃん。そこに「なにしてるのー?」とやってきた他の友達を、あえてMちゃんの隣に座ってもらって、なんとなく一緒にいることを.....を繰り返して2週間が経とうとしていた。

 

 

 

そんな中、Mちゃんに少し変化が見られたのは新しく延長保育を利用する年少児さんが入ってきた時だった。「一緒に行って、手を洗う水道がどこか教えてあげて」とお願いをするとその日から自分の役割のように、おやつ前になるとその子の手を引いて手洗いに連れて行ってくれるようになった。2人の間に会話はあまりなかったものの、年少の子もMちゃんに信頼感を抱いているようで、徐々に園庭遊びで一緒に散歩する姿も見られるようになった。

 

それから、年少の子をきっかけに集団に少しずつ入っていく機会が増えた。朝礼台から先生と手をつないで大きなジャンプをして遊ぶ子たちの輪に入ったり、砂場でダムを造る他の子に水を汲んできてあげたり。

 

先日は色鬼で遊ぶグループに入ってきた。「鬼さん、鬼さん、何の色?」とみんなで鬼の子に聞いて、鬼役の子が指定した色を見つけるゲーム。最初は鬼が指定した色をみんなに交じって探し回っていたMちゃんだったが、ふと「Mちゃんも鬼やる」と声をかけてきた。消え入るような声だったが、思わず私の気持ちが高ぶった。Mちゃんが鬼をやる順番になり「鬼さん、鬼さん、何の色?」と尋ねられると、ちょっと照れながら「あか」と答え、みんなが一斉に走り出す。それをニコニコで追いかけるMちゃん。

 

たった一か月。でも、決まっておやつ後になるとママが恋しくなって涙していた、園庭を一人でぐるぐるお散歩していたMちゃんを思い返すと、みんなの中心となって色鬼をする姿はすごく嬉しく心に響いた。

 

子ども同士のつながりってやっぱすごいなぁーと実感。

-------------------------------

 

秋からは学生になる。それは、新しい発見と出会いがありそうなわくわくに溢れている一方で、現在のように、子どもたちの姿を毎日連続してみるということがなくなるのかという実感が沸々と湧いてきた。少し惜しい気持ちにもなったけど、今は子どもとの毎日を楽しみたいなという思いでいっぱい。