とことこ保育

人生で間違いなく大切な乳幼児期

3年前もUSとカナダの国境を越えられなかった話。

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ひとつ前の記事で報告した通り、当初予定していたカナダへの渡航は延期になった。3月16日にカナダ・アメリカ国籍の方・永住権を持っている人以外は入国禁止となったため選択肢はない。

 

hoikutogether.hatenablog.com

 

が、前回の記事をアップしたすぐ後に、学生ビザ・一部の就労ビザ保持者については入国を認める措置が適用されるということで、現在は様子見の状態である。

 

今回の留学延期を受けて触れた『国境』という言葉に思い浮かぶ節があり考えると、実は『入国できない』という経験は今回が初めてではなかった

 

今回の記事はその記録である。これからワーキングホリデーを考えている方、現在ワーホリ中の方、海外にいる方....『こんなおバカがいたらしいぞ。気をつけよ』くらいの気持ちで読んでいただけるとありがたい。

 

 

 

楽しかったNY3日間

忘れもしない2017年。当時同じ時期にカナダ・トロントでワーキングホリデーをしていた友人と一緒にニューヨークを訪れた。3日間の予定でダンボ地区を訪れ、ブロードウェイでアラジンを観劇、ニューヨークでニューヨークチーズケーキを食べ、ホームアローン2の鳩おばさんがいたセントラルパークの橋を見て、そりゃもう充実していた。

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雨の日もあったけど、水たまりが反射するタイムズスクエアは、メディアで何度となく目にしてきた風景が目の前に広がっていることに静かに、でも強く感動していた。

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重大なミスを『大丈夫』で済ませた自分...

そんな3日間旅行を終えて、さぁカナダへ空路で戻ろうという時にそれまで気づいていなかった重大なミスに気づく。


パスポートを確認するとワーキングホリデービザの用紙が入っていなかったのだ。ワーキングホリデービザとはパスポートのポケットに挟んでいたはずのもの。おそらく机から取り出した時に落ちたのだろう。

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しかし、万が一に備えてこの写真をスマホに保存していたこともあり『たぶん大丈夫だよね』と楽観的に考えていた。チェックインカウンターで空港職員のリアクションを見てことの重大さに気づくまでは。

 

この時の自分ほんとにアホ。

 

 

私は『国境』 越えられない

飛行機出発の2時間前には空港に到着してチェックインカウンターへ。この時点ではまだ、早めに着けたからコーヒーでも飲もうか、と友人と話す程の余裕があった。まだ何も知らないのだ。カウンターに着き、自分の順番になり、事の重大さが分かっていない私は声高らかにこう伝えた。

 

『I forgot to bring my visa, but I have a Photo of it here.』

(ビザを携帯し忘れちゃったんだけど、ビザの写メなら持ってます)

 

この時、しばらく沈黙が続いた後に見たカウンター職員の顔は今でもハッキリと覚えてる。

 

何言ってんだお前?

正気か?

ヲイヲイ。

おまえ絶対初めての海外だろ。

ESTAだけじゃダメだぞ。

が、混ぜこぜの表情。


『Ahhh.....9.11前なら可能性はあったかもしれないね。でも今はダメだ。君は飛行機で国境を渡れないよ。他の方法を考えなくちゃ』

 

『.....What!?』

 

このとき初めて、国境越えられない⁉︎って事の大きさに気づき始めた。

 

 

右往左往する私を見て、規約の書かれた用紙まで取り出し、

『試しにボスに聞いてみるけど、ダメだと思うよ』


と対応してくれていたお兄さんが一度バックヤードに消え、お局スタッフ登場。私の状況を聞いて間髪入れずに『No. you cannot take your flight.』ビザの写メを持ってることを伝えるが『it doesn't work.』

 

他に方法はないか尋ねるも、私たちのお客はあなただけじゃないから領事館に問い合わせる、警察に聞いてみたらの一点張り。残念ながらその日は日曜日。領事館も大使館も休みだ。しまいには勤務を終えて帰宅しようとしていた日本人職員の方まで出てきてくれて『ビザ忘れちゃったの〜?』と一緒に他のカウンターの人に掛け合ってくれるも返事は、やはりNO。

 

次の日からカナダで仕事があったし、お金もギリギリ。焦る気持ちが膨らむ一方。


それから2時間程 カウンターの前で話し合うも終着点が見えず、結局ラストコールの時間になり友人のみ予定していた飛行機で旅立った。

 

そう、私は一人アメリカに取り残されたのだ。

 


国ではなく、自分のミスが招いた映画ターミナル

だからと言って何もしないわけにはいかない。情報収集を行うため充電器片手にコンセントを探し回り、Sorry for your situationと空港職員の方からパンをもらい、その日は必要な人への連絡と国境越えについての情報収集をしながら空港で朝を待つことになった。


映画ターミナルを実体験しているようだった。今ならトム・ハンクスの気持ちがわかる。いや、でも私の場合は国の状況ではなく完全に自分のミス。と出発前の自分を責めまくった。


が、そんなことで状況が変わるわけもなく。

 

 

必死になっていろいろ調べると、陸路であればビザの写真でも国境越えが可能かもという情報があり、朝イチのNY〜トロントの高速バスをチェックするとバスに空席が。それまで気にかけてくれていた空港職員の方に話をして、空港を後にした。

 

再度マンハッタンへ移動し、出発までの間カフェで時間を潰すも気が気じゃなかった。それまでの3日間キラキラに輝いていた景色が一気に雲掛かり、昨日までは一人じゃなかったのに....と、どんどん暗い気持ちが湧き上がってきた。

 

もし写真が通用せず陸路も空路もダメになったら私はどうやってカナダに戻るのだろう。まさかこのまま日本へ強制送還か、勾留か!?前科みたいにレッテル貼られて今後入国ができなくなったらどうしよう。

 

暗い気持ちを掻き回している間に高速バスの出発時間になった。

 

 

いざ陸路で国境へ

乗車場所に着くと、そこには長蛇の列が。ドライバーのおじさんがトランクへの預け荷物の個数とチケットを一人一人確認。乗車時はバスのチケットとパスポートしか提示を求められず、第一関門はひとまずクリア。

 

しかし、心臓の鼓動が悲鳴上げそうなくらいに速く、電車や車では高確率で眠りに落ちる私が一睡もせずにカナダとアメリカの国境に辿り着いた。

 

日本は島国であるため、陸路で国境を越えるという経験がない方も多いと思うので説明をしておくと、陸路で国境を越える際も手順は空路とほとんど同じである。空港のように一度荷物を全て検査にかけて、全身チェック、入国審査官によるパスポート・ビザのチェックと質疑応答をクリアして入国となる。

 

荷物と共に長い列に並び、自分の番を待つ。『Next!!』という野太い声に呼ばれて入国審査官の前へ。ついにこの時が来た。手汗が止まらない。

 

『give me a passport』

あるよ。
『Show me your VISA』

それな。

 

事情説明して、ワーキングホリデービザが撮影された写真を見せると案の定、私のスマホを持って奥へ消えていく職員。奥にいた勤務歴の長そうなグレーヘアおじさんと私のことを指差しながら何かを話している。

 

写真めっちゃ拡大してる。

まだ話してる。

 

ここまできてダメだったら本当に日本に帰国することも考えよう。

ほら、肩すくめてるよ。

 

嗚呼、友人は今頃カナダの空港を後にしているだろうか。

....話が終わったらしい。

 

.......

.......

 

『thanks. NEXT!!』

 

......っっだぁぁぁぁ!!!越えた!!!

 

職員は何も質問することなくパスポートとスマホを返してくれた。深夜の国境越えで誰もがダルそうに検査を受ける中、声を上げずにはいられなかった。しかしその後も、もしかしたら途中で連絡をもらって国境まで送り返されるのではないかと不安は消えず。結局一睡もせずにカナダ・トロントに戻ってくることになった。

 

そう。戻ってこれたのだ。ただいまトロント

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今回一番伝えたいこと

ここで念のため申し上げておくが、ビザを携帯せずこのような事態に陥った場合100%陸路で国境越えられるわけではない。私の場合ラッキーだったとしか言いようがない。なのでこの記事を見て、ビザを携帯し忘れた場合を想定するのはやめていただきたい。ビザは必ず携帯しなくてはいけないものです。

 

最初にもお伝えしたが、こういうおバカもいたぞ、というネタのひとつくらいに考えていただきたい。


ということで、私からワーキングホリデー・留学をされている方にするアドバイスはひとつ。国境を越える時は必ずビザを携帯しよう。